きみに初恋メランコリー
「……ぷっ、」

「は?」

「ぶふっ、あっははははははっ!」

「……?!」



押し倒された体勢のまま、なぜか大笑いし始めたまどかを、俺は呆然と見下ろす。

彼女は笑いすぎてもはやヒーヒー言いながら、空いた左手で自分の腹を抑えている。


……なんだこれ……なんで男に押し倒された状態で、こんな爆笑できんの?

つーか、なんでこいつは、急に爆笑してんの?



「あー、ごめんごめん」



不機嫌オーラを出し始めた俺に気づいたのか、まどかはなんとか笑いを引っ込めてつぶやいた。

浮かんだ涙を拭いながら言われても、まったく誠意が感じられない。どんだけデリカシーないんだよ。



「てめぇ……」

「ちょ、怒んないでって。仕方ないじゃん、このシチュエーションに笑えてきちゃったんだから」

「………」



……信じらんねぇ。普通笑うか? このシリアス展開真っ只中で。

再び眉を寄せる俺に、まどかはまた「あははっ」と小さく声を上げて笑う。

それからピシッと、しわの寄った俺の眉間にデコピンをかました。
< 199 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop