きみに初恋メランコリー

「いっ、」

「そーちゃん、バカ？　このあたしが、あんたから向けられてる視線に気づいてなかったわけないじゃん」

「……………は？」



たっぷりの間の後、ようやく言葉を発した俺に、まどかはふふんと得意げな笑みを見せる。



「あんたの気持ちなんてお見通しよ、お見通し。このまどかオネーサマをなんだと思ってんの？」



自分の真下にある笑顔を見つめながら、俺の頭の中はますます混乱する。


……お見通し？

俺が、昔から、まどかのことをすきだったってことが。

…………お見通し？



「……え……ちょ……じゃあ……」



眼下のこいつは、自分に向けられている俺の気持ちに気づいていて。

そのうえで、こうやって俺の部屋に来たり、今までの態度をしてたってことか？


困惑しきっている俺の表情を見上げながら、やっぱりまどかは、なぜか得意げな顔をしていて。



「だってあたしは、100％あんたの気持ちには応えられないし、弟みたいに思ってる事実は変わらないもの。なんであたしの方が、意識して態度変えたりしなきゃいけないわけ？　あたしはあたしの、やりたいように生きるわ」

「………」

「あんたはあたしにとって、クソ生意気でサッカー馬鹿な、かわいい弟よ。今までも、これからもね」