きみに初恋メランコリー
相変わらず俺に押し倒されたままの体勢ながらも、意志の強い瞳で見上げてくるまどか。

思わず、がっくりと脱力してしまった。



「なんだよ、それ……」

「ふふ。それに──……」



それにね、と。

言いながら彼女は、悪戯っぽく笑ってみせた。



「最近は、あたしよりも大切な子ができたことだって。オネーサマはちゃあんと、気づいてんのよ」

「……え……」



自分に向けられた予想外の言葉に動きを止めていると、その隙にまどかは、するりと俺の下から抜け出す。

ベッドの前に立って、ふぅ、とひとつ、息をついた。

体を起こし、そんな彼女を振り返る俺は。戸惑いつつも声をしぼり出す。



「え……大事、って」

「何うろたえてんの。花音ちゃんのことよ」

「──、」



彼女の口から飛び出した名前に、また俺は、ギクリと体をこわばらせた。


……だって……だって、彼女は。

彼女のことを、俺は。
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