きみに初恋メランコリー


◆ ◆ ◆


次の日の、お昼休み。

わたしはある人と、人気のない階段の踊り場にいた。



「……わたし、奏佑先輩と、別れたよ」

「………」

「いきなり呼び出して、こんな話してごめんね。……でも、このことを黙ってるのも、ずるい気がして……」



視線は、そばにある階段に向けながら。

そう話すわたしに、手すりに背を預けたままの人物──刹くんが、ゆっくりと口を開いた。



「……知ってる。あの人と同じサッカー部のクラスメイトが、本人から聞いたって話してたから」

「そっ、か」

「ほらな、言っただろ。──絶対、幸せになれないって」



彼の言葉に、わたしはうつむく。

すると刹くんは、はーっと深く、息を吐いて。

なぜだかがしがしと、片手で自分の頭をかきまわした。



「あー、ごめん、花音。こんな、意地悪な言い方をしたいんじゃなくて……」

「え……」

「えっと、だから、つまり……」



めずらしく煮えきらない彼の態度に、わたしはきょとんとその顔を見上げる。

刹くんは何か決心したようにふっと嘆息してから、またこちらを見つめてきた。
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