きみに初恋メランコリー
「最低かも、しれないけどさ。俺としては、この展開はチャンスだと思ってんだよ」

「せ……」

「もう、これで最後にするから。……だから、逃げないで、聞いて」



手すりに寄りかかっていたはずの彼が、姿勢を正してわたしを見据えた。

ふわりと、わたしの顔の横に垂れた髪を、耳にかける。



「……すきなんだよ、花音。ずっと、忘れられなかったんだ」

「刹くん……」

「だから──俺に、しろよ」



まっすぐ自分に向けられるその気持ちに、偽りなんてないんだろう。

刹くんは思わずこちらが恥ずかしくなってしまうくらいの熱のこもった瞳で、わたしのことを見下ろしてくる。

わたしは、こくりと小さく、唾を飲み込んで。

逸らしてしまいたくなる衝動を抑えながら、まっすぐ、彼の目を見つめた。
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