きみに初恋メランコリー

・ラブレター



教室内の自分の席で、休み時間のたびにスマホと睨めっこすること、すでに2日目。

そうして結局何もせずにため息をつく俺を見かねて、とうとう乾が声をかけてきた。



「どーした長谷川、思春期か」

「思春期だよ……」

「マジか、じゃあ俺にはどーにもできねーわ」

「匙投げんのはえぇなオイ」



乾といつものごとくくだらない応酬をしてはみるものの、俺の心は晴れない。

理由は、そう、数日前の、まどかとの会話のせいだ。



『みっともなくても恥ずかしくても、ちゃんと謝って、ちゃんと自分の気持ちを伝えて。そしてこれからはたくさん、大事にしなきゃね』



あのとき、自分の心の奥で見ないフリをしていた気持ちに、ようやく気づいて。

今までたくさん花音ちゃんを傷つけた分、たくさん大切にしたいと、そう強く思って。

だけど現実は、今さらどの面さげて連絡とれるんだ、という頭の中の葛藤に引き止められ……こうしてうだうだと、彼女と連絡をとれずにいる。

ああ、やっぱ情けねぇな、自分……。
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