きみに初恋メランコリー
「……はあ……」



トイレの出入り口近くにうずくまって、深く息を吐いた。

ここだと、他のボックスからも騒がしい歌声はあまり届かない。

しゃがみ込んだまま、無意識に震えそうになっていた体をぎゅっと抱え込んだ。


……決めたのに。

変わろうって、変わらなきゃって、思ったのに。

なのに自分は、何も変わってない。

頑なに殻に閉じこもっていたあの頃から、何も変わってない。



「……う……」



ああ、なんだか泣きそうだ。頭がぐらぐらする。

……吐きたい、かな。



「──大丈夫?」
< 3 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop