きみに初恋メランコリー
「ふふ、そうなんですか。昔から、ずっと?」

「そうだね。えーっと、小学2年生くらいからかな?」

「え、そんなに前から……いいですね、わたしどうしようもないくらい体力ないし、足も遅いし、運動系はほんとダメで」



苦笑しながら白状すれば、奏佑先輩はじっとわたしを見つめた。

その眼差しに、ドキリとしたのも束の間。



「ああ、たしかにそんな感じするかも」

「……!」



あごに手をあてて、なんでもないみたいに先輩がさらりと言った。

だけどガーン、と思わずショックを受けた顔をしてしまっているだろうわたしの反応に、プッと吹き出す。



「ふはっ、花音ちゃん、わかりやすすぎ」

「え……」

「ごめんね、ちょっと冗談言ってみただけ。まさかそんなショック受けるとは思わなくてさ」



言いながら伸ばした彼の手が、そっとピアノに触れる。
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