きみに初恋メランコリー
「そんないっぱい食べるわりに、なんでガタイ良くならないかな」

「……うるせー。人がなにげに気にしてること言うな」



口元に笑みを浮かべ明らかに揶揄している乾のセリフに、今度は俺の方が眉を寄せて毒づいた。

俺が長年続けているキーパーというポジションは、ゴール付近の必死で点を取りにくるところということで、相手選手との接触が多い。

だからもっと体重も重く、ガタイが良い方が好都合なんだけど……。

身長と食欲のわりに細身な俺は、気を抜けば自分より体格の良い奴のスライディングに吹っ飛ばされかねないのだ。



「ま、筋肉はある分ひょろひょろのモヤシってわけでもないし。女子とかにとってはうらやましい体質なんだろうなー」

「うん、ソレ乾には言われたくない」

「俺は日常生活に支障ない体型です」



そんな他愛ない会話をしながらも、俺たちは購買のある1階へとたどり着いた。

すでにそこは俺たちと同じように昼食を買い求めに来たのだろう、たくさんの生徒たちが集まって混雑している。
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