きみに初恋メランコリー
「じゃーな柔道が恋人の中浜くん! アディオス!」

「ざっけんな長谷川……っ」

「え、せんぱ……?!」



言うが早いか、奏佑先輩はピシャリと窓を閉めてしまった。

あきらめたのか、もう窓の外から中浜先輩の声は聞こえてこなくなって。



「あっはっは、閉めちゃったー」

「あの、よかったんですか……?!」



けろりとしている奏佑先輩に、なぜかわたしの方が慌ててしまう。



「いーのいーの。アイツ柔道部の練習で毎日男同士くっついてるから、女の子といる奴見るとすーぐちょっかいかけてくんだよなー」



──あ、でも悪い奴ではないよ?

そう言いながらまたくすくすと笑って、先輩はわたしと視線を合わせた。



「まー男ってバカなもんでしょ。教室でもあんな感じでさ、ガキだよね」

「いえそんな……」

「……ごめんね。花音ちゃん男が苦手なのに、大きい声出しちゃって」

「──え」



申し訳なさそうなカオで先輩が不意にそんなことを言うから、思わず目を丸くした。

だけどすぐハッとして、今度は慌てて首を横に振る。
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