きみに初恋メランコリー
「それに俺、今日はただの人数合わせだから元々乗り気じゃないんだよね。きみと同じで」

「えっ」

「花音ちゃんさ、こういうのあんまり好きじゃないタイプでしょ。ていうか、男が苦手?」



──ごめんね、そこまで気づいてたのに追いかけてきちゃって。

言いながら苦笑した彼に、わたしは思わず目を見開いた。



「……な、んで……」

「ん?」

「なんで、わたしが男の子を苦手だってわかってて……追いかけてきたんですか……?」



だって、そのせいでわたし、あなたに嫌な思いをさせてしまうかもしれないのに。

疑問に満ちた顔で、おそらく今日初めてまともに彼と視線を合わせた。

あの合コンに乗り気じゃなくて。この体質に気づいてて。

そんな状況でわたしを追いかけたところで、何のメリットもないはずだ。

ただでさえ人見知りなうえ男性恐怖症の気がある、こんな自分の面倒くささは、自分が1番よくわかっているから。


だけど彼は、ふわりとやわらかく笑っていとも簡単にこう言った。



「そんなの、関係ないよ。ただ心配だったから、来ただけ」
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