きみに初恋メランコリー
思いがけない衝撃に、俺はなすすべもなく、地面にしりもちをついてしまう。



「いって……」



つぶやきながら、打ち付けた腰をさすった。

だけど自分の目の前に、同じように地面に座りこんだ人物を見つけ慌てて立ち上がる。



「わっ、悪い、大丈夫ですか?!」



相手が年下とも年上ともまだわからない状況で、つい中途半端な口調になってしまう。俺はすぐに手を差し伸べた。



「だい、じょうぶっす……」



先ほどまでの俺と同じように腰をさすっていたのは、なぜか私服姿の同年代の男だった。

顔をゆがめながらも、目の前にある俺の右手を取る。

それと同時に俺は力を込めて、男が起き上がるのを手助けした。

勝ち気そうな、少しつり上がった瞳に、雑誌のモデルなんかがよくやっているような、左右非対称の髪型。

なんとなく、その男が自分より年下な気がして。俺は気安く声をかけた。



「ほんと悪い、俺ちょっと急いでて……」

「や……俺も初めての場所がめずらしくて、結構よそ見してたんで」



その言葉と、彼の服装に。

ひとつの可能性に思いあたった俺は、思わずそれを口にする。
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