きみに初恋メランコリー
「……2年2組、長谷川 奏佑……」
「わり、それ、俺の生徒手帳だ」
言うが早いか、ほとんど奪いとるように手帳を受け取る。
おそらく、ネクタイをしまうためポケットに手を突っ込んだままぶつかって、そのまま引きずり出すように落としてしまったんだろう。
平常心を装って生徒手帳をまたポケットにしまう俺を、黙って見つめていた彼は。
静かに、口を開いた。
「今どき……」
「は?」
「今どき、いるんすね。……生徒手帳に、自分のすきな奴の写真、入れる人」
その、言葉に。
自然と、自嘲的な笑みが浮かんだ。
「……ああ。自分でも、女々しいと思ってるよ」
──それじゃあ俺、急いでるから。
そう言って踵を返した自分の背中に向けられる視線を振り払うように、足を進めた。
『よく撮れてるでしょ、それ。大事にしてよねー』
ポケットの中の、無邪気な笑顔は。
いつだって俺の胸を、切なく締めつける。
「わり、それ、俺の生徒手帳だ」
言うが早いか、ほとんど奪いとるように手帳を受け取る。
おそらく、ネクタイをしまうためポケットに手を突っ込んだままぶつかって、そのまま引きずり出すように落としてしまったんだろう。
平常心を装って生徒手帳をまたポケットにしまう俺を、黙って見つめていた彼は。
静かに、口を開いた。
「今どき……」
「は?」
「今どき、いるんすね。……生徒手帳に、自分のすきな奴の写真、入れる人」
その、言葉に。
自然と、自嘲的な笑みが浮かんだ。
「……ああ。自分でも、女々しいと思ってるよ」
──それじゃあ俺、急いでるから。
そう言って踵を返した自分の背中に向けられる視線を振り払うように、足を進めた。
『よく撮れてるでしょ、それ。大事にしてよねー』
ポケットの中の、無邪気な笑顔は。
いつだって俺の胸を、切なく締めつける。