きみに初恋メランコリー
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朝、教室に着くと、なんだか室内がいつもより騒がしかった。
声をかけてくれるクラスメイトたちに挨拶を返しつつ、わたしは少しだけ不思議に思いながらも、自分の席につく。
するとそのタイミングで、わたしより先に来ていたらしいしおちゃんに話しかけられた。
「花音、おはよ」
「おはよぉ、しおちゃん。……どうしたの? なんだかみんな、いつもより落ち着かないような……」
「ああ、今日隣のクラスに、転入生が来るらしいのよ」
あっさりそう言って、彼女はわたしの前の席に腰を下ろした。
本来のその席の主は今近くにいないようで、それでなくてもしおちゃんには、思わず望まれたものを差し出してしまうようなオーラがある。
しおちゃんの言葉に、わたしは思わず目をまたたかせた。