きみに初恋メランコリー
「転入生? 夏休み明けてからもしばらく経ってるこんな時期に、めずらしいね」

「私もよくわかんないけど。もともとこっちの方に住んでたのが引っ越して、また戻ってくることになったんだって。ちなみに男」

「へー……」



しおちゃんの話に相づちを打ちつつ、机にかばんの中のものを整理しながら入れる。

まあ、隣のクラスだし、わたしには関係ないかな。しかもそれが男の子だったりしたら余計……。

奏佑先輩と話すようになってから、ほんのちょっとだけ、苦手がマシになったような気がするけど……クラスメイトはともかく、知らない人と仲良くなるなんて、いきなり無理だし。



「私としてはどこの誰とも知れない転入生のウワサ話より、2限目の数学でやる小テストの方が大問題なんだけどね」

「あはは。しおちゃん、数学キライだもんねぇ」

「チッ、いまいましい……」

「しおちゃん、そのカオは女子高生的にNGだよ……」



舌打ちして剣呑な顔をするしおちゃんに、思わずつっこむ。

それから予鈴が鳴るまで、わたしたちは他愛のない会話を続けたのだった。
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