きみに初恋メランコリー
「まだ、予鈴まで時間あるので……曲当てクイズ、しますか?」

「お、いいねー」



最近恒例になっている、曲当てクイズ。

読んで字の如く、花音ちゃんがピアノを弾いて、その曲名を俺が当てるというものだ。

彼女は幅広いジャンルの曲を弾くことができるので、かなり懐かしいチョイスのものがあったりして、なかなか楽しめるのだ。

俺は張りきって、彼女の奏でる音に耳をすます。



「それじゃあ、いきますよー」



その言葉の直後、彼女の両手がなめらかに動きだす。

やさしい彼女が紡ぐ、やさしい音色。

そのメロディには確かに聞き覚えがあるんだけど、いまひとつ、思い出せない。



「うーん……なんだっけな、どっかで聞いたことあるんだよなあ」

「ふふ。ヒントは、映画の挿入歌です」

「えぇ……」



うぅーん、なんかなー、結構昔に、聞いたような……。

ああでもダメだ、どうしてもわからん。ヒントをもらっても、さっぱり曲名と映画が思いつかない。

俺は早々と、両手を上げて『降参』のポーズをとった。
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