きみに初恋メランコリー
「……一体なんなわけ? 俺、アンタに呼び出されるようなことした覚えないんだけど」



渡り廊下の向こう側、花音からは見えないところに来るなり、進藤 刹は私の手を振り払いながらそう言った。

そのムカつく表情と態度に、ピキ、と一瞬青筋を浮かべて固まるけど……私は深呼吸でなんとか気持ちを落ち着かせて、進藤 刹に向き直った。



「進藤 刹。アンタいい加減にしてくれない?」

「は? 何が」

「とぼけんじゃないわよ。花音のこと」



そこで「ああ、」と進藤 刹は口角を上げる。

私の不機嫌メーターも、上がる一方だ。



「なに、大事なオヒメサマにちょっかいかけんなって?」

「……まあ、言い回しが激しくムカつくけどそういうこと」

「おまえ、マジで容赦ねぇな。……じゃあ、こっちもハッキリ言わせてもらうけど、嫌だ」



その進藤 刹の言葉に、私は思いっきり顔をしかめる。
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