きみに初恋メランコリー
次の休み時間、さっそく海へのお誘いの話をしたわたしに、しおちゃんは思いっきり眉を寄せてみせた。



「ちょっと待ってよ、海って花音とソースケ先輩が、ふたりきりで行くんじゃなかったの?」

「あはは……わたしは、勝手にそう思ってたんだけどね。先輩はそうは考えてなかったみたい」

「チッ……度胸ないわね、ソースケ先輩」

「ちょ、しおちゃん……」



まるっきり悪人顔で舌打ちするしおちゃんのつぶやきに、あわあわとツッコミを入れる。

椅子の背もたれで頬杖をついていた彼女はやはり憮然とした表情で、こちらを振り返った。



「悪いけど、私は行かないわよ。ていうか意地でも花音たちがふたりきりで行くように、私は行けないことにするから」

「え……」

「けど問題は、先輩側の友達よね……多少の犠牲は払ったとしてもなんとか手回しして、偶然を装いつつふたりきりにできないかしら」



ブツブツと若干危ないことも含みながら、しおちゃんはつぶやく。

そんな彼女に、わたしは苦笑を浮かべた。
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