きみに初恋メランコリー
「あ」

「え? ……あ」



生徒玄関近くにある自販機の前で、思わず固まってしまった。

そんなわたしの隣に立って、同じようにちょっと驚いた表情をしている男の人は──前に購買で、奏佑先輩と一緒にいた人だ。

……どうしよう、挨拶した方がいいのかな。

でもこの先輩(たぶん)は、わたしのことなんか覚えてないかもしれないし。

でも「あ、」って言ってたし、こうやって目を合わせてるってことは、わたしのこと覚えてくれてるのかな。


ぐるぐるとそんなことを考えていたわたしより先に、口を開いたのは先輩の方だった。



「……えーっと。とりあえず、飲み物買おっか」

「ぅあ、はいっ」



先輩とわたしが目の前に立っている自販機は、それぞれ後ろに順番待ちの人が並んでいる。

わたしは急いで小銭を入れると、いちごオレのボタンを押した。

並んでいる列の後ろの方に出ていくと、そこにはすでに、先ほどの先輩がブリックのカフェオレを持ちながら立っていて。

先輩は苦笑しつつ、わたしに話しかける。
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