お見合い相手は無礼で性悪?



映画館で一緒に居た相手が
妹さんだと知って胸の中のモヤが晴れるようだった

知らず知らずのうちに
彼のことを気にしている自分

飛び込んで傷付く位なら
避けて通ろうと思った自分

興味がないと相手を責めて
自分は棚上げしていたこと

反省すべきは私のほうだった


『お見合い。いや、君の言うように政略結婚だな
その形はどうであれ、恋愛している時間は少ないから、十年後、十五年後。この人となら幸せになれるって
長いスパン考えないと結婚できないんだよ?わかる?』


同級生なのに、自分は恋愛経験も豊富だと言わんばかりの口振りが勘に触った


『まぁ、誰とも付き合ったこと無さそうだから仕方ないだろうけど』


更には視線の先の目が笑っていてムカつく


『な、によ。自分は経験豊富だとでも言う訳?』


図星過ぎて口から出たのはこの程度


『あぁそうさ!悪いけどモテるからさ』


得意気に話す姿が滑稽で
いつの間にか吹き出していた


『そう。そうやって笑ってるほうが可愛いよ』


また茶化してと笑うつもりが
真顔の彼に息が詰まった


「・・・っ」


トク、トクと強く胸が騒つき
ジワリと頬に熱が集まる


『小さい頃から変わらないな。オデコ全開で』


昔を懐かしむような顔をした彼は
全開のオデコを指でトンと弾いた


小さい頃?


『あの、私達どこかで会ってた?』


確か知らないと言ったはず

それなのにオデコのことを知っている?


訝しげに見る私に気付いた彼は


『ピアノのレッスンだよ』


気不味そうに指で頬を掻いた


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