お見合い相手は無礼で性悪?
甘い風が吹いたら
何にしても過剰な反応をする私を慣らすように
彼は少しずつ二人の距離を縮めてきていた
思い出すのは妹さんの誤解を解いた時
誕生日プレゼントの代わりにキスをして以降は
酔っ払った彼を運ぶのを手伝ったくらいで
距離感を保っていたから
私の反応は可笑しくて仕方ないのだろう
そんなことも知らず過剰に反応する私には
笑顔の彼がいつも視界の中にいた
『さて、買い物に行くけど、その前に』
彼はパチンと手を合わせて
『少し待ってて』と家の中をチェックし始めた
何を確認しているのかは分からないけれど
メモをとりながら忙しなく動いている
数分後、数枚になったメモ用紙を片手に戻った彼と出かけたのは
中央駅横に聳え立つデパートと
その向かい側にある複合型商業施設のレガーメに入る輸入雑貨を取り扱うカリーナ
終始彼のリードで進められる買い物は
メモを埋めるアイテムで
食器やランチマット、カトラリーや歯ブラシに至るまで
そのどれもがペアで購入された
大きな物を揃えた私に対して
隙間を穴埋めするように小物類を買い揃える彼
『普通逆だよね』
彼の両手に荷物が増える度
手伝うと手を出してみるけれど
答えはノーばかり
ただ・・・
重みに耐えられなくなると私をベンチに座らせて
彼は一人で駐車場に止めた車へと荷物を置きに行く
手のひらが真っ赤になっているにもかかわらず
小さな紙袋さえ持たせようとしない彼に
十分過ぎる優しさを感じていた
『あれだけ買ったから、もうマンションで暮らせるな』
並んで歩きながらメモを眺める
『もう終わり?』
見上げた視線がぶつかって
すぐにメモ用紙に落とす
『後は、デパ地下で今夜の食材買おうぜ』
そう言い終わると彼はサッと手を繋いだ
『・・・っ』
突然のことに驚いたけれど
全然嫌じゃない
繋いだ手に力を込めた彼は
その手を高く持ち上げながら
『恋人同士だから手は繋がないとな~』
楽しそうに笑うから
その笑顔に胸が高鳴った