お見合い相手は無礼で性悪?





ソファにぼんやり座っていると

彼の戻る気配を感じた

カチャリと開く扉に上半身を捻って顔だけ向けた


『君もどうぞ』


お風呂上がりの彼はハーフパンツを身につけただけの破廉恥な格好で
首から下げたタオルで髪を拭いていた


『・・・っ!』



正面に向き直して両手て顔を覆った


『なに?男の裸、見たこと位あるだろ?』


笑ってるだろう口振りがムカつく


『・・・じゃあ』


なるべく彼を見ないように立ち上がり
寝室で着替えを取ると
早歩きでバスルームへ向かった


いつものようにタブレットを投げ込みバブルを立たせると

自宅に居るような錯覚に陥る

ついつい長湯をしてしまい
リビングルームへと繋がる扉を開くと
そこはシンと静まり返っていた


『・・・フゥ』


望んだことなのに少し寂しくて



肩が落ちた






・・・





部屋履きの音を立てないように
静かに廊下を歩いて
そっと寝室の扉を開く

小さな灯りに浮かび上がる
窓際の彼のベッドを見る

規則的に上下する胸の辺りを確認すると


手前の自分のベッドへ滑り込んだ


途端に思い出すのは長かった一日


ここに帰ること当たり前になる日が
やってくるのか実感も湧いてこないけれど


舌打ちばかりをされていた頃を思うと


旦那さんになる彼は
最初の印象より良い人だった


・・・眠い


自然と閉じた目蓋と
途端に微睡む意識

そんな私の耳に聞こえたのは


『お風呂、長過ぎだろ』


呆れたような彼の声で

驚きと緊張に身体は金縛りに遭ったように動かなくなった


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