漆恋を解く僕たちは。
はじまり。
「―――さん」
風鈴とかピアノみたいな心地のいい声で目がさめた。
目を開けると青空と風に吹かれてさわさわ揺れてる草原がどこまでも続いていた。
起き上がってみて気がついたことがある。
俺はどうやら高さ3mくらいの丘…というか盛り上がりの上に寝ていたらしいということ。
それからこの丘は半径5~6mくらいだろうか。
意外と広くて真ん中に大きな木が生えていて、その側でおそらく声の持ち主と思われる女の子がこっちを見ていた。
起き上がった俺に気がつくと彼女はぱっと嬉しそうに笑い歩み寄ってきた。
゛なんて綺麗なんだろう・ ・ ・゛
顔なんかまだぼんやりしか見えないのにそう思わずにはいられない。
真っ白なワンピースから伸びる華奢な手足、ふわっと流れる長い髪、それから何より、洗練された歩き方が彼女を美しく見せていた。
見とれてしまったことが恥ずかしくてつい俯いてしまう。
目の前に紐のないスニーカーが到着した。
「会いに来てくれたの…?」
さっきはあんなに嬉しそうに笑ってたのに、彼女の声は震えていた。
驚いて顔を上げると 思わず息を飲んだ。
真っ白な肌、桜色の小さな唇、ちょんとついた小さな鼻、うっすら涙を浮かべた茶色の目
なんでこんなに綺麗な子が俺の前で泣いてんだ?
それに「会いにきた」って…。 俺は気が付いたらここにいたし、あなたのことは知らない。
まて、もっと優しい言い方があるだろ…!
俺が必死で頭を整理していると
彼女は目の前にペタンと座り込んで 幸せそうに笑いかけてきた。
「私、ずっとあなたを待ってたの…。」
そう言って彼女はゆっくりと近づいてきた。
いやまて!どうしたって言うんだ…!?
驚いて固まってしまう。
それからすぐに思考が停止する。
彼女の頬の薄い桃色が、段々と濃くなっていくのがわかる
近づいてくる彼女の甘い香りにクラクラする
その髪に触れて、抱きしめてしまいたい
もうおでこがくっつくんじゃないかってくらいの近さまで来た彼女は涙で潤んだ目で俺を見上げている。
「…ありがとう……」
彼女はそう言って顔を傾けて目を閉じた。
その時、弾き出されたみたいに涙がこぼれるのを見て俺ははっと我に返った。
「待って…!ください…!!」
彼女の両肩を抑え、軽く押し戻す。
彼女は驚いて目を見開いて、一瞬泣きそうな顔になってから悲しそうに笑った。
「……ごめんなさい、…………・・筧さん」
彼女は俯いて消え入るような声を震わせていた。
それはさっきまでの幸せそうに泣いている時とは違っていて、 切なさでいっぱいだった。
風鈴とかピアノみたいな心地のいい声で目がさめた。
目を開けると青空と風に吹かれてさわさわ揺れてる草原がどこまでも続いていた。
起き上がってみて気がついたことがある。
俺はどうやら高さ3mくらいの丘…というか盛り上がりの上に寝ていたらしいということ。
それからこの丘は半径5~6mくらいだろうか。
意外と広くて真ん中に大きな木が生えていて、その側でおそらく声の持ち主と思われる女の子がこっちを見ていた。
起き上がった俺に気がつくと彼女はぱっと嬉しそうに笑い歩み寄ってきた。
゛なんて綺麗なんだろう・ ・ ・゛
顔なんかまだぼんやりしか見えないのにそう思わずにはいられない。
真っ白なワンピースから伸びる華奢な手足、ふわっと流れる長い髪、それから何より、洗練された歩き方が彼女を美しく見せていた。
見とれてしまったことが恥ずかしくてつい俯いてしまう。
目の前に紐のないスニーカーが到着した。
「会いに来てくれたの…?」
さっきはあんなに嬉しそうに笑ってたのに、彼女の声は震えていた。
驚いて顔を上げると 思わず息を飲んだ。
真っ白な肌、桜色の小さな唇、ちょんとついた小さな鼻、うっすら涙を浮かべた茶色の目
なんでこんなに綺麗な子が俺の前で泣いてんだ?
それに「会いにきた」って…。 俺は気が付いたらここにいたし、あなたのことは知らない。
まて、もっと優しい言い方があるだろ…!
俺が必死で頭を整理していると
彼女は目の前にペタンと座り込んで 幸せそうに笑いかけてきた。
「私、ずっとあなたを待ってたの…。」
そう言って彼女はゆっくりと近づいてきた。
いやまて!どうしたって言うんだ…!?
驚いて固まってしまう。
それからすぐに思考が停止する。
彼女の頬の薄い桃色が、段々と濃くなっていくのがわかる
近づいてくる彼女の甘い香りにクラクラする
その髪に触れて、抱きしめてしまいたい
もうおでこがくっつくんじゃないかってくらいの近さまで来た彼女は涙で潤んだ目で俺を見上げている。
「…ありがとう……」
彼女はそう言って顔を傾けて目を閉じた。
その時、弾き出されたみたいに涙がこぼれるのを見て俺ははっと我に返った。
「待って…!ください…!!」
彼女の両肩を抑え、軽く押し戻す。
彼女は驚いて目を見開いて、一瞬泣きそうな顔になってから悲しそうに笑った。
「……ごめんなさい、…………・・筧さん」
彼女は俯いて消え入るような声を震わせていた。
それはさっきまでの幸せそうに泣いている時とは違っていて、 切なさでいっぱいだった。