漆恋を解く僕たちは。
ん〜…眩し…
目を開くと窓から朝日が差し込んでいる。
ふぁ〜…
そうだ、゛筧悠也゛さんには朝食を用意した方がいいかしら?
外に出てみると出てきたばっかりの太陽が低く浮かんでいる。
゛まだ夜が明けたばっかりなのね、彼は…まだ外に来てないみたい。
ふふ、なんだかワクワクするわ。
きちんと朝食をとるなんて久しぶりだもの。
用意ができたら彼を呼びに行きましょう゛
「スーッ…よし!」
木でできた長テーブルにベンチ、赤と白のチェックのテーブルクロスを思い浮かべて目を閉じる。
目を開けて現れたテーブルにクロスを敷く。
銀色で端に草花の装飾が入ったフォークとスプーンも用意した。
それから彼の家へ彼を起こしに来た。
「コンコンコン」
「・・・」
まだ起きてないのかしら?
私は中に入って彼を起こす事にした。
「お邪魔します…」
中に入ると彼はベットの上に起き上がって座っている。
「おはようございます、勝手に入ってごめんなさい」
「あ、いえ…。よかった。おはようございます、紗夜さん」
彼は驚いたような顔で私を見ている。
「どうかしましたか?」
「夢が…冷めなくてよかったと思って。
俺、もっと紗夜さんのことが知りたくて。」
彼はそう言って私に優しい笑顔を向けた。
「ふふ、ありがとうございます。
あ、朝食を用意してみたんです。
それで起こしに来ました。外で待ってますね、」
彼にそう言って外に出た。
゛夢…?彼にとってここは天国じゃないのかしら…?゛
そんなことを考えているといつの間にかテーブルセットのところまで来ていた。
それからすぐに彼も外に出てきた。
「うわぁ、素敵ですね。これ全部、紗夜さんが用意してくれたんですか?」
「喜んでもらえて嬉しいです。
はい、久々の朝食なので楽しくて…つい張り切っちゃいました」
「久しぶり?」
「えぇ、私、ここに来てからお腹が減ることがなくて。」
「そうなんですか?俺はもうペコペコで…。
朝ごはん、すごく楽しみです。」
「よかった。
すぐ用意しますね、どうぞ座ってください。」
彼に席を案内して、私はその横にたった。
いつもお世話されてばかりだったから、誰かをもてなすのは新鮮で、不思議な感じがした。
メニューが決まったら、昔食べた通りに、味や香り、風味もできるだけ丁寧に、具体的に思い浮かべた。