漆恋を解く僕たちは。
…今どんな顔をしているの?



見えない表情を想像してドキドキしながら待っているとちょっと間があってから、彼は何かを思い切ったみたいにぶんっと勢いよく顔を上げた。


…すごい真っ赤になってる…。


「あの…?なんであなたがそんなに真っ赤なんですか…」


「えっと…その…俺まで恥ずかしくなっちゃって。

紗夜…が真っ赤になって照れてるのがすごい可愛かったから…」


ーーーーっ!



゛紗夜゛



゛ずっとずっと雅也さんにそうやって呼んで欲しかった…。


それに…

そんなこと言われたらまた顔が熱くなっちゃうじゃない…。゛




「・ ・ ・ぐすっ・ ・ ・」


「えっ!?ちょっ…紗夜さん…!?

じゃなくて、紗夜?? どうしたんですか?」



「・ ・ ・嬉し…くて、紗夜って、、呼んでくれて・ ・ ・」




ただ彼が名前を呼んでくれた、それだけの事なのに。


気がついたら涙が溢れて止まらなくなっていた。



「・ ・ ・ははっ!そっか、良かった。」


彼はそう言うと私の頭を優しく撫でた。



「嬉し泣きなら良かったです。

・ ・ ・好きなだけ泣いてていいですよ。」



「 ・ ・ ・」



彼の言葉が嬉しくて、胸がいっぱいで・ ・ ・


そのまま彼の方に寄りかかった。







゛・・天国«ここ»で彼と普通の恋が始められるんだ…!



本当は、彼を通して雅也さんを見ているのはちょっぴり罪悪感があるけど…


でもそれよりも、ふわふわした気持ちの方がずっとずっと大きいわ!゛


嬉しくて幸せで、、


ただ、今はこのまま彼に寄りかかっていたいと思った。



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