漆恋を解く僕たちは。
「わぁ…!!」

扉の奥には月明かりに照らされて輝く花畑が一面に広がってた。


一歩足を踏み入れるとフワッと扉は消えてしまって、

天国についたんだって思ったの。


"気持ちいい…。こんなに素敵な場所に今まで来たことがあったかしら?"


小さな頃から病弱だった私はお屋敷の庭園の外にはほとんど出たことがなかった。


庭園には大きな噴水や季節の花々が咲き乱れる小道、
読書のための小さなテーブルのセットがあった。


他にも広い庭園にはたくさんの場所があって
きっと楽しいことも沢山あったのかもしれないけど
私はお手伝いさん達の子供たちから話を聞いていたばっかりで、行ったことがあるのはたった1度きりだった。


"お庭も素敵だったけど…、こんなに気持ちのいい場所は初めて!

体もずっと軽くってこんなにはしゃいでもくるしくないわ!"


嬉しくなってあたりをキョロキョロ見回すと少し離れた
ところに小さな丘とその真ん中に大きな気がいっぽん生えていた。


まるで少女に戻ったみたいな、あの人と過ごした昔のような気持ちになって、、、 私は軽い足取りで木の方へ歩いていった。





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