漆恋を解く僕たちは。
「雅也さん…、なんて言ったの…?」



「…お嬢様…」



彼はソファーの上で起き上がって、何かを飲み込んだみたいに下を向いた。



彼の肩が小さく震えているのが見える。



゛泣いてるの……? ・ ・ ・この人の、雅也さんの涙を拭ってあげたい…゛


そう思うのに離された手が寒くて心細くて動かせない。


ただいつもより小さく見える大好きな人の背中を見つめた。
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