影と闇
こんな地味な私を誰も好きにならないから。


自信のある顔のパーツはひとつもないし、長く伸ばした髪は手つかずだし。


でも、いいか。


べつに沖田くんや他の男子に好かれなくても、幸せになれないわけではないからね。


もちろん末那のことは大好きだけど、それと同時に末那の引き立て役になっていることも事実。


私は末那と違って目立たないし、目立とうとしないから、余計に引き立て役になっていくのだ。


「あ……あはは、そんなわけないじゃん。私みたいな地味子を沖田くんが相手にするなんてありえないよ」


額や背中に大粒の汗が流れるのを感じるが、気づかないフリをする。


そうだよ。


好きになるなら、末那のような見た目も性格も可愛い子だよ。


いくらモテるという噂の沖田くんでも、私より末那を選ぶだろう。


そもそも私は恋愛に興味があるというわけではないから、べつに恋愛しなくても生きていけると思う。


恋できなくたって生きていけないことは絶対にないよね。
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