影と闇
だったら、今日コンビニで買ったファッション雑誌を読んでファッションについて勉強しよう。


カバンの中に入れたコンビニの袋から雑誌をすべて取りだし、それらをローテーブルの上に置く。


さっそく一冊目を読もうとしたそのとき、うしろからドアの開く音が聞こえた。


はっと目を見開いて音のしたほうを見ると、そこには両手に大きな荷物を持った蘭子が立っていた。


そう、同じ部屋のメンバーは蘭子だった。


となると残った理子ちゃんはどうなんだという話だが、理子ちゃんは別のグループの子と同じになったと聞いたので、ひと安心している。


「あっ、茅乃いたんだ。そうだ、茅乃がいなかったらドアの鍵開いてないもんね」


ははっと自分の言葉で笑う蘭子。


本当におかしそうで、目から涙が浮かんでいる。


なにがそんなにおかしいの?


蘭子の行動を理解することができなくて、小首をかしげる。


私の反応をスルーして、蘭子は窓側に自分の荷物をドサッと置いた。


「ふぅ、家族や親戚にあげるお土産いっぱい買ったから荷物が多くなったな。でも自分で買ったから仕方ないか」


手の甲で額から流れてくる汗をぬぐう蘭子だが、私には本気でそう言ってるふうには感じられない。


『こんな大荷物持たせるなよ。私は行きたくて行くわけじゃないのに』
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