影と闇
過去と親友の恋
蘭子から沖田くんについての話を聞いた数日後。
私の周りではとくに大きなトラブルは起こらず、ただ平穏に過ごしていた。
末那と蘭子の間の深い溝はまだ埋められずにいるが、ひび割れるまでにはいたらなかった。
末那は蘭子のことをあんまり意識しないようにしているためか話題にしなくなった。
いっぽうの蘭子は、末那がどこかにいなくなったタイミングで私に末那の悪口を言うようになった。
「あ〜、ムカつく! 芦谷がマジで腹立つ! ねぇ、茅乃もそう思わない?」
蘭子にこう聞かれるたびに、私は曖昧な笑顔で対応している。
このことは末那には言えない。
自分の悪口を言うグループに私が入っているという光景を見たら、末那はどう思うだろうかと不安になってしまう。
心がザワザワするのだ。
蘭子のことは本気で友達だと思っているけど、末那のことを悪く言っているのを見ると、とてもじゃないけど反発したくなる。
しかしそれを蘭子にぶつけても蘭子には逆効果であることなど、さすがの私も理解している。
もし反発したら、私が蘭子たちのターゲットになってしまうかもしれないから。