影と闇
小さいころに読んでいた本にこんなことが書かれてあった。


【風邪は体が冷えたと同時に起こるもの】


【バカは風邪をひかないと言われているが、このバカというのは本当に頭が悪い子を指すわけではないらしい】


【風邪は誰かにうつせば治る】


当時は書いてあること全部が嘘だと思っていた。


でも、それは違うのかもしれない。


そんなことを考えている間に、蘭子が担任の先生のところへ話をしにいってしまった。


さっきの言葉の選択は間違えたのかも。


蘭子と一緒に先生のところに行った理子ちゃんのほうに視線を向ける。


理子ちゃんもどこか心配そうな表情だ。


気づかなかったけど、理子ちゃんも蘭子と一緒に私の表情を見たのかな。


嘘をつくんじゃなかった。


心の中でため息をつくと、蘭子と理子ちゃんに連れられてきた先生が私のところにやってきた。


「片桐、部屋でしばらく休んだほうがいいんじゃないか?」


今の言葉からして、蘭子と理子ちゃんが私の顔色が悪いことを先生に説明したらしい。


きっと先生も慌てていて、私の話を聞いてくれないような気がした。


「いえ、大丈夫です。説明を聞くくらいならできます」


しかし、これ以上心配かけたくないという気持ちが強くなり、先生にも大丈夫だと伝えた。
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