影と闇
「へっ、うん……」
突然話を振られたので、口ベタな私の口から出たのは、恥ずかしくて顔を覆いたくなるほどマヌケな声だった。
本当に顔を覆いたいけど、沖田くんに手を掴まれているせいで顔を隠すことができない。
恥ずかしい、穴があったら入りたい。
頬に熱が帯びる感覚がして、反射的にパッとうつむいた。
それでも沖田くんの言葉は続く。
「ふたりで相合傘したあとに服を見たらびしょ濡れで。俺もそうだけど、片桐さんも服が濡れてたから、体が冷えたって聞いて後悔したんだ。片桐さんが体調を崩したのは俺のせいじゃないかって」
そんなことを思っていたんだ。
自分が傘を忘れて私に借りたせいで、私が冷えたのかと自分を責めていたんだ。
全然知らなかった。
こんな地味子の私のために。
ファンの女子には悪いけど、沖田くんにそんなことを言われて嬉しい。
だけど、その気持ちは沖田くんには言わない。
嬉しいとはいえ、ファンの女子に白い目で見られそうだから。
「違うよ、私が悪いの! 私が遠くまで行かなかったら、こうならなかったんだよ」
だから私は自分を責めた。
数時間前なにやってたんだって。
どうして集合場所よりも遠くの場所に行っても蘭子と理子ちゃんを止めなかったんだって。
突然話を振られたので、口ベタな私の口から出たのは、恥ずかしくて顔を覆いたくなるほどマヌケな声だった。
本当に顔を覆いたいけど、沖田くんに手を掴まれているせいで顔を隠すことができない。
恥ずかしい、穴があったら入りたい。
頬に熱が帯びる感覚がして、反射的にパッとうつむいた。
それでも沖田くんの言葉は続く。
「ふたりで相合傘したあとに服を見たらびしょ濡れで。俺もそうだけど、片桐さんも服が濡れてたから、体が冷えたって聞いて後悔したんだ。片桐さんが体調を崩したのは俺のせいじゃないかって」
そんなことを思っていたんだ。
自分が傘を忘れて私に借りたせいで、私が冷えたのかと自分を責めていたんだ。
全然知らなかった。
こんな地味子の私のために。
ファンの女子には悪いけど、沖田くんにそんなことを言われて嬉しい。
だけど、その気持ちは沖田くんには言わない。
嬉しいとはいえ、ファンの女子に白い目で見られそうだから。
「違うよ、私が悪いの! 私が遠くまで行かなかったら、こうならなかったんだよ」
だから私は自分を責めた。
数時間前なにやってたんだって。
どうして集合場所よりも遠くの場所に行っても蘭子と理子ちゃんを止めなかったんだって。