影と闇
私がそのことを理解したのは、高校に入学して数か月後のことだった。


1年生のとき私と蘭子は違うクラスで、今ほど仲よくはなかった。


廊下ですれ違うときに『違うクラスで一番目立ってる女子だな』と心の中でつぶやくだけだった。


関わらない日々が過ぎていくのかと思っていたある日。


この日、私はたまたま教室に荷物を置いたままだったということに気づき、所属していた委員会が終わったあとすぐに教室に向かった。


クラスに入手前のところで、突然近くから声が聞こえてきた。


『バカじゃねぇの⁉︎ あんた、前まで私と一緒にいたくせに、よくそんなこと言えるよね!』


周りには私以外誰もいなかったので、近くに誰かがいたことにびっくりした。


急いで忘れた荷物を取り、声がしたと思われる場所までゆっくりとした歩調で歩く。


数歩歩いたところで私の予想が当たったと思った。


私のクラスからふたつぶん離れたクラスで、数人の女子が別の女子を足蹴にして大声で罵っていた。


彼女たちにバレると私まで巻き込まれると思い、身を隠した。


『あはは、そんな蹴ったらかわいそうじゃん』


『でもさ、悪いことしたのはこいつでしょ?』
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