影と闇
『うわ、マジ悲惨。でも自業自得だもんね〜』


『ちゃんと責任取ってくれないと殺すよ?』


彼女たちの言葉はある意味恐怖を覚える。


自分が彼女たちのターゲットではないのに、なぜか体が震えた。


かわいそう。


でもここで私が足蹴にされている子を助けたら、と思うと動けなかった。


私が会話を聞いているとは知らないせいか、彼女たちはさらに大きな声で話を続ける。


『あんたってぶりっ子だよね。そういうのを周りに見せるのやめたほうがいいよ?』


『蘭子からこんな的確なアドバイスを口にするなんてはじめてじゃん? 一緒にいて一回も聞いてないんだけど』


『やだ、そんなこと言うのやめてよ。私だって一度や二度くらいは誰かにアドバイスしてるってば』


『まぁとにかく、蘭子にアドバイスされただけでありがたいと思いなさいよね』


『そしてもう二度と私たちに逆らわないでよね〜』


そんな声が聞こえたあと、ゲシッとなにかを足で蹴るような音がした。


彼女たちの会話を聞くだけで精いっぱいで、体重を支える足に力が入らなくなって倒れそうになる。
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