影と闇
数秒ほど姿勢をキープしていたが、限界がきたのか体が勢いよく倒れてしまった。


バタンッ!


やばいとは思いながらも自分の体を動かすことができない。


あぁ、終わったな。


これで私も彼女たちのターゲットになるんだ。


心の中でもうひとりの自分を自虐的に笑った。


だが、私がそう思ったあと。


すぐ近くでパタパタという音がして、視界に手を私に差しだす女子の姿が映った。


なにか言っているようだけど、私にはなにを言っているのかわからない。


もういいか。


足蹴にされた子を助けただけで、私は十分。


たとえ私がターゲットになっても、その子が幸せに過ごしていればいいの。


そして、私は意識を手放したんだ。


それからだっけ、蘭子と仲よくなったのは。


足蹴にされた子を助けたことで今度は私がターゲットになるのかなと思っていたが、予想に反して蘭子が次の日からいきなり話しかけてきた。


『ねぇ、昨日は大丈夫だった?』


『え?』


いったいなんのことだろうと首をかしげる私に、蘭子が私の肩に手を置いた。


『私のクラスの前で倒れてたんだよ? よっぽどなにかに我慢してたみたいだったけど』
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