影と闇
☆☆☆
次の集合時間まで残り30分になった。
最初に立ち寄った服屋さんをあとにした私たちは、そのあと数軒ものアクセサリーショップに寄って高額なものばかり買った。
なので私の両手はショップ袋でふさがっている。
ちなみにアクセサリーを買ったのは全部蘭子。
私は止めようとしたけど、『これくらい朝飯前よ』と繰り返して、持ってきたものすべてをレジまで持っていった。
もちろん理子ちゃんも『これは茅乃のためだから遠慮はいらないよ』と私を引き止めた。
蘭子は私のイメチェン計画のために、どれくらいのお金を使ったんだろう。
1か月働いても給料が足りないくらいの量かもしれない。
なんて思っているうちに、前を歩いていたふたりが走りはじめた。
私もふたりのあとを追おうとする。
しかしそのとき、両手に持っていた紙袋をひょいっと持ちあげられた。
びっくりしてそちらのほうに目を向ける。
豆粒のように小さくなっていくふたりの姿などおかまいなしに、ピタッと足を止める。
視界に映ったのは、今朝天使のような寝顔を見せてくれた沖田くんだった。
「片桐さん、大丈夫?」
「沖田くん……」