影と闇
ミカにキラキラの粒子を身にまとっているかのような錯覚を覚える。


いつか私もこんなふうに笑える日が来るのかな。


そう思うと、早くイメチェンしたくてたまらない。


すぐに見た目を変えたいという気持ちをグッと我慢して、ミカに笑顔を見せる。


ただ、笑顔を見せた直後、ミカの笑顔には完敗したなと思った。


明るいオーラしか見あたらないミカの笑顔とただ口角を上げて笑っただけの私の笑顔の差が激しすぎることに気づいたのだ。


そのことに対してもグッと我慢するしかない。


「サンキュー、茅乃。私のためにお土産を買ってきてくれたなんて。お礼したくなってきちゃうよ」


紙袋を私から受け取り、さらに満面の笑みを浮かべるミカ。


本当、ミカの笑顔には癒されるな。


だが、ミカが笑顔を見せていた時間はそんなに長くなかった。


不意にミカの表情がなにかあったのかと問いかけてしまいそうなくらい真剣なものに変化していた。


もしかして、お土産の中身が気に入らないものだったのかな?


そうだとしたら謝らないと。


思ったことを口にしようとした私を尻目に、ミカが紙袋を握りしめながら問いかける。


「そういえば茅乃、『どうしても話したいことがあるから家の近くの公園に来てほしい』って言ってたけど、なに? いったいなにがあったの?」
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