影と闇
でも、私がイメチェンしたいと決めたから、以前とは違う姿でクラスメイトの前に現れたのだ。


ぐるぐると頭の中でそんなことを考えている間に、蘭子と理子ちゃんの会話が聞こえてきた。


「芦谷、派手にやらかしたよ。先生たちにこっぴどく叱られると思うよ、ふふっ」


「鹿目さん、芦谷さんの暴走した姿見たの?」


「うん、芦谷を止めようとした茅乃と一緒にね。そりゃすごかったよ。阪口の想像を超えてると思う」


「えっ、私が想像してるよりも暴れたの⁉︎」


「たぶんね。ふっ、芦谷の暴走っぷりを思い出したら笑えてきたんだけど……」


暴走した末那を思い出すだけで笑える?


ありえないよ。


末那の親友というポジションに位置する私は、末那が拳で窓ガラスを叩き割る姿を想像してもまったく笑えない。


逆に笑うほうがおかしいと思う。


どうして蘭子は笑っていられるの?


理由はすぐ近くにあるはずなのに、理由を口に出してはいけない気がして言えない。


私の席の前で楽しそうに話す蘭子と理子ちゃんから目をそらし、窓のほうを見つめはじめた。
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