影と闇
それぞれ自分の席から離れて仲のいい友達としゃべりはじめたクラスメイトたちを見た直後、再び蘭子と理子ちゃんがやってきた。


「茅乃、一緒に勉強しよっ」


「うん、いいよ」


英語の教科書とノートに筆記用具を持ってきた蘭子にニコッと微笑み、蘭子が上機嫌で迷うことなく前の席に座る姿を見つめる。


私の前の席は他のクラスメイトの席だが、今は窓側の席に座っているので文句は言わないだろう。


蘭子と理子ちゃんにバレないように小さく笑い、英語の勉強をはじめた。


しかし、英語のノートを開いてすぐに理子ちゃんの慌てた声が聞こえてきた。


「あっ、待って! 私もちょうど英語の勉強しようと思ったんだ! 3人で英語の勉強しよっ」


最後のひとことに語尾に音符がつきそうだよ、理子ちゃん。


心の中でツッコミを入れながらも、理子ちゃんも混ぜてあげようと思って『いいよ』と言おうとしたそのとき、蘭子があからさまに嫌そうな顔をした。


「阪口も英語の勉強するの? だったら私、別の科目の勉強しようかな」


「えっ……」


予想外の言葉だったのか、目を丸くして体を硬直させる理子ちゃん。


私も目を見開く。
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