影と闇
今の言葉は本音だ。


しかし、その本音がふたりの心にグサッと突き刺さったらしい。


頬をピキッと引きつらせて硬直する蘭子に、目を見開いて私のほうを見る理子ちゃん。


ふたりの姿を視界に映した瞬間、こめかみから冷や汗が流れた。


マズい、この状況はとてもマズい。


自分で作ったピリピリした空気をなんとかしようと思うが、体が思うように動かない。


口も、なかなか言うことを聞いてくれない。


奥歯を噛みしめていると、ガラッと教室のドアが開いた。


今の時間は3限の前でクラスメイトが出入りしても大丈夫なので、たいして驚かない。
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