影と闇
手を差しのべられる意味がわからなくて頭上にクエスチョンマークを浮かべると、沖田くんが笑顔を見せた。


「傘、持ってないんでしょ? 俺の傘に入れてあげるよ」


なんて優しい人だろう。


涙が出そうになってしまった。


涙が出そうになるのをこらえて沖田くんの手を握り、傘の中に入る。


相合傘をするのは、修学旅行のとき以来だ。


修学旅行のときはなにも話せなかったけど、顔を向ければ話しかけてくれる。


嬉しくなる気持ちをおさえて、次にどこに行くかを相談する。


雨が降ったということもあり、次の行き先は私の家になった。
< 261 / 376 >

この作品をシェア

pagetop