影と闇
背中を押されたことでグラッと体が前に倒れ、椅子から落ちそうになった。


しかし、私の体が完全に床に着く前に、駆け寄ってきた沖田くんに引き寄せられた。


「茅乃、大丈夫?」


「う、うん。ありがとう、沖田くん」


私と沖田くんの会話で、クラスメイトが羨ましそうな目をこちらに向けた。


蘭子と理子ちゃんも、ニヤニヤとした顔で私を見ている。


だが、すぐにびくっと体を震わせた。


授業の準備をしていた末那が、恨めしそうな顔で私を見ていたから……。


鬼を思わせる鋭い目つきが私をとらえて離さない。


『イメチェンしてクラスメイトにちやほやされてるからって、調子に乗るんじゃねぇぞ』
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