影と闇
末那の睨みに怯えた私に気づいたらしい蘭子が、末那の肩を手で強く押した。


「ちょっと芦谷、茅乃を睨んでたでしょ。自分からバカな格好してきたくせに、茅乃を睨んでんじゃねぇよ」


蘭子の言う『バカな格好』というのは、私がイメチェンした姿をクラスメイト全員にはじめて見せた日の、末那の格好のことだろう。


ボサボサの髪に、切り刻まれたような跡があったズタボロな制服。


誰がどう見ても、ヤマンバじゃないかと思ってしまう格好。


ヤマンバのような格好の末那を想像するだけで、笑ってしまいそうになる。


笑いをこらえきれなかったのか、私の顔を見た末那が顔を真っ赤にした。
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