影と闇
「笑うなよ、私を裏切ったくせに! あんたがそんな格好で学校に来なければ、私はあんたよりモテたままだったのに!」


教室中に響き渡るほどの大声で叫んだ末那。


当然、私を受け止めてくれた沖田くんの耳にも末那の声が届く。


その証拠が、震えるような声と私を抱きしめる力が強くなったことだ。


「芦谷さんってこんな人だったっけ? 俺が見た限りの芦谷さんは誰かを睨んだり、誰かに向かって叫んだりしない人だったと思うけど……」


沖田くん、末那のことをよく見ていたんだ。


私のことばかり考えていたのかと思っていたけど、違うのかな。
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