影と闇
片目をつぶり、痛そうに顔をゆがめる沖田くん。


慌てて立ちあがり、沖田くんのそばに歩み寄る。


さっきまで力が入らなくて立ちあがれなかったのに、いつの間にか立ちあがっていた。


「沖田くん、大丈夫⁉︎」


「あぁ、大丈夫。保健室で手当てしてもらったら、そのうち痛みはおさまるよ」


「わ、私、手当てするよ!」


「本当に? なんか悪いな」


「だって、私を助けたせいで沖田くんがケガしちゃったから……」


「茅乃のせいじゃないよ。それじゃあ、保健室に行こう」


「うん」


砂がついた髪を左右に振り乱す末那を放置して、私と沖田くんは保健室に向かった。
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