影と闇

知らなかった事実


保健室に着き、沖田くんがケガした部分を保健の先生に見せた。


保健の先生は、沖田くんのケガに驚いている。


「あら大変! こんなに血を流して……。とりあえず、手当てする前に腕を水で洗い流して」


その言葉で、沖田くんは血だらけの腕を洗面台の前に立ち、水で血を洗いはじめた。


ときおり痛そうに顔をゆがめるが、水で洗うのをやめない。


洗わなければ、手当てができないからだろう。


そう思ったとき、私の視界に沖田くんの制服の袖が映った。


袖には刃物で裂かれた跡があり、その跡から血がにじんでいる。


「…………」
< 294 / 376 >

この作品をシェア

pagetop