影と闇
知らなかった事実
保健室に着き、沖田くんがケガした部分を保健の先生に見せた。
保健の先生は、沖田くんのケガに驚いている。
「あら大変! こんなに血を流して……。とりあえず、手当てする前に腕を水で洗い流して」
その言葉で、沖田くんは血だらけの腕を洗面台の前に立ち、水で血を洗いはじめた。
ときおり痛そうに顔をゆがめるが、水で洗うのをやめない。
洗わなければ、手当てができないからだろう。
そう思ったとき、私の視界に沖田くんの制服の袖が映った。
袖には刃物で裂かれた跡があり、その跡から血がにじんでいる。
「…………」