影と闇
保健の先生が、机の引きだしから救急箱を取りだした。


「それじゃあ沖田くん、先生の前にある椅子に座ってくれる?」


「あっ、待ってください」


「片桐さん? どうしたの?」


「沖田くんの手当ては私がします」


保健の先生が少し驚いた表情を見せた。


だけど、なにかを察したのか、先生が救急箱を私に差しだした。


「じゃあ片桐さん、沖田くんの手当てをしてもらえる? 先生は体調が悪いっていう子を連れてくるから」


若干早口で言ったあと、先生は早足で保健室を出ていった。


室内がしーんと静まりかえる。
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