影と闇
ふたりきりになったと思ったタイミングで、私は沖田くんの近くにある椅子に座り、救急箱の中を開けた。


それと同時に、沖田くんが私の隣の椅子に座る。


腕にできた傷に消毒液を塗り、その上から包帯を巻いた。


沖田くんの左腕全部が真っ白な包帯に覆われ、心が痛くなるのを感じる。


「ありがと、手当てしてくれて」


「…………」


「……茅乃、どうした?」


眉をハの字にして黙り込む私を見て、沖田くんが不思議そうな顔をした。


「もしかして、俺がケガをしたのは自分のせいだって思ってる?」


否定はできない。
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