影と闇
いまだに、沖田くんのケガは自分のせいだと思っている。


顔をうつむかせる私に、沖田くんがケガをしていないほうの手で私の頭を優しく撫でた。


「そんなこと気にしなくていいんだよ。茅乃が無事ならそれでいい」


沖田くんはなんて優しいんだろう。


沖田くんが私の彼氏でよかった。


そう思ったと同時に涙が床にこぼれ落ちた。


「あ……あ、りがと……」


涙に濡れた顔を手で覆いながらそう言う。


沖田くんが、泣いている私を優しく抱きしめてくれる。


こんなに心の美しい人に愛されるなんて、私はなんて幸せ者だろう。


保健室のドアから誰かが見ていることに気づかず、私は沖田くんの腕の中で泣き続けた。
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