影と闇
すると、ドアの奥から慌ただしい足音が聞こえてきて、ガチャッとドアが開いた。


ドアを開けたのは知らない男性だった。


年齢は20歳前後で、学校や仕事に行っているようには見えない。


「……はい、なんですか」


男性が低い声で尋ねてきたので、私は半歩あとずさりしそうになった。


だが、なんとか踏みとどまる。


「あの……私、末那の友達の片桐と申します」


「末那の友達?」


男性が少しだけ目を見開く。


「はい。それで……末那の様子がどうなのか見にきたんですけど……」


おそるおそるといった口調でつぶやく。
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